お医者さんの手術着はなぜ青色なのか?

お医者さんの仕事着と言えば、すぐに思いつくのは「白衣」。白色ですね。しかし、テレビドラマなどで手術のシーンに出てくるお医者さんが来ている手術着の色は濃い青や緑の上下です。テレビドラマだから、ではなく、実際の現場でも青や緑の手術着を着ています。なぜ、手術のときだけは、白ではなく青や緑の服装にわざわざ着替えるのでしょうか。

手術中に青緑色のおばけが出る?

1920年代のニューヨークで、ある外科医が「手術中に青緑色の亡霊が出る」と苦痛を訴えました。もちろん亡霊なんて出るはずはありません。実は、これは視覚効果によるものなのです。同じものをずっと見ていると、誰でも目が疲れてきます。それは、ある特定の色であっても同じで、同じ色を長時間見ていると視神経が疲れてくるので、目の疲労や色の刺激をやわらげるために、人間の目には、見ている色とは反対の色を網膜上に作り出す生理機能があるのです。これは「補色残像現象」とか「補色残像効果」などと呼ばれています。お医者さんが手術中にずっと見なくてはならないのは赤い血の色です。白い紙を持ってきて、実験をしてみるとよくわかりますが、赤色をずっとみて、パッと白い紙に眼を移すとだんだんと青緑色が現れてくるはずです。

昔は、手術着も白でした。執刀医が集中して血液の赤い色の一箇所を見つめて処置をした後、パッと目を移したときに、周りにいるスタッフの手術着が白であれば、血液の赤の反対の色、青色や緑色が外科医の視覚に残像としてちらつきます。残像が生じれば、目が慣れるまで手を止めなければなりません。緊急を要する手術でいちいち止まってなどいられません。こうしたことから現代では手術着に青や緑が採用されることになったのです。ちなみに、手術室の壁も青や緑になっているところが多いようです。

リラックス効果も

青色や緑色にはリラックス効果があります。手術を直前に控えた患者さんは当然、緊張しています。執刀するお医者さんも緊張しています。手術中、どうしても見なければならない赤色は興奮作用がありますので、青や緑が視界に入ることにより、みなの緊張を取り払い、落ち着かせてくれるのです。よく視力回復には遠くの緑を見るといいと言いますが、特に、緑色には目の疲れを和らげる効果があります。細かい作業で目を酷使する医師は緑色の手術着が最適とも言われています。

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